詩ボク僕2005,2006 カテゴリーの一覧

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斗士騎

斗士騎は流す
涙と汗を
高校野球 夏の全国大会予選
まさかの二回戦敗退

延長に入って守っていたのは
斗士騎達 二年生バッテリー
キャッチャーとしては
小さな斗士騎が
目一杯体を広げて
まもるホームベース

カッキーン
無情にも さよならヒット

ホームベースに もたれるように
うずくまった斗士騎 
ウオーン ウオーン ウオーン

先発した三年のピッチャーが
駆け寄り
斗士騎を 抱き起こす

フェンスによじのぼる
斗士騎の姉
着ているトレーナーの
背中の刺繍は
「我が高の大黒柱 斗士騎」

斗士騎は 坊主頭で真っ黒で
どんぐり眼(まなこ)
僕のクラスの委員長
始業の号令
「きりーつ!気を付け!礼
姿勢を正して めいそう!」

「キャッチャーは
玉覚える頭あるから
斗士騎も頑張れば
勉強できるはず」と
僕は 励ます
「テストの前になったら、忘れる!」と
斗士騎は 真顔で 答える

修学旅行で泊まる
東京のホテルの
部屋割りの時
「5人部屋より3人部屋の方が、
風呂の順番すぐ回ってくるな!」と
言った僕の言葉に
斗士騎は
すぐ反応する
「風呂は クラスみんなで
入るんじゃないの?」

素直に
すぐ 反応する斗士騎
僕のクラスの大黒柱
我が高の大黒柱

斗士騎!
小さな体を
大きな心で カバーして
どんぐり眼(まなこ)を かーっと見開いて
どんな場面でも びくともしない
頑丈な大黒柱に なってくれ!
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ヒサチュウ

ヒサチュウは
僕の三度目の妻の父親

焼酎好きなヒサオさんを
僕は勝手に ヒサチュウと
呼んでいる

ヒサチュウは
囲碁と 酒と おばさんを
こよなく愛する男
若い娘は 苦手
勤めてる病院の看護士の
目を見ては
話が出来ない

ヒサチュウは
しょっちゅう焼酎飲んでて
飲むたんびに
鉄鋼会社にいた頃の話

「中国から鉄鉱石運んできた船
中国人 上陸する前に
検査で 何回か乗ったんよ
そしたら
煙草みたいだけど
油紙に巻いたようなの
中国人 吸ってて
試しに 俺も吸ってみた
煙草じゃない感じ
くらっとした」

「やばいもんじゃないですか?」
僕は 驚く

ヒサチュウの妻
スミチャンが もっと驚く
『この人は 変なこと言ってから』
ヒサチュウとスミチャンと
妻と僕とで
御飯を食べに行った

夏の暑い日
ヒサチュウは
生ビールを頼む
僕も ヒサチュウと乾杯
飲むと ヒサチュウ
苦手が なくなる
アルバイトの女の子に
ヒサチュウ
「車運転しないから!
心配しないでいいよ」
そして
「お姉さん おかわり!」

『この人は 余計なことを言ってから』
スミチャンは
また大きな目を丸くしてる
 
大胆なヒサチュウも
酒飲んでても
ホルモンは 苦手
「ホルモンは わりい!
下痢する」
強調 する

ヒサチュウとスミチャンは
下町のナポレオン「いいちこ」の会社の
近くに 住んでいる

隣保班だからといって
いいちこ 決して 安くはならないが
「やっぱ 焼酎は いいちこ!」
いつも6本セットを ご購入

「たまには いい酒飲みない!」
もらった いいちこ6本セット
すべて 飲んでしまった僕は
5リットルの
ペットボトルの焼酎に
逆戻り
「また宇佐に行った時
いいちこ飲ましてください
楽しい話を 聞かせてくださーい」

三度目の結婚で
初めて 妻のお父さんと 気が合った

ヒサチュウ!
お腹は 大切に

むちゃごろう

むちゃごろうは
高校工業科の先生で 僕の先輩です
何でも むちゃくちゃに
やってるように思える位
一生懸命な先生を
僕は勝手に むちゃごろうと
呼んでいます

むちゃごろうは 
ものづくりの天才です

【1時間目の授業が始まってすぐに
 料理の油がもったいないと作った
 大きなストーブが
 真っ黒な煙を もくもく上げました

 火災報知機が
 リーーーーーーーン
 まだ早朝八時五十分なのに
 近所の公園まで
 全校生徒が 一目散に
 走って逃げました         】

むちゃごろうの溶接の
技術に感心して
「すごいですね」と言ったら

『子供作れたんだから
 なんでも作れるよぉ』
にやにやしながら 答えました

そばにいた僕も生徒も
笑うに笑えず
頬がピリピリ引きつった

パソコンのキーボードに
サランラップをはるほど
綺麗好きな
むちゃごろうは
学校の清掃の責任者です

早朝からフル回転の
むちゃごろうは 
八時からの職員朝礼から 吠えます

『校内が大変汚れてまーす。
 特にトイレが、とっても、汚れてまーす。
 先生がきちんとついて、掃除させていますか?
 もう少し、学校をきれいにしよう!
 という意識を持って、
 掃除に 取り組んで下さーい        』

悲鳴のような叫びに
眠気も 一気に吹っ飛んでしまいます

むちゃごろうは 昼間も吠えます
生徒を力づくで
職員室まで連れて来て
『こいつ、ズボン下がってたから注意したけど、
 上げようとしない!全然素直じゃない!
 担任誰かい?              』

弁当食べてた僕たちは
おかずを オエオエオエ のどに詰まらせます

むちゃごろうは
フーテンの寅さんを濃くしたような顔で
高校教師には まったく見えません

むちゃごろうの趣味は
何故か?社交ダンスです
大きな四角い顔と短い足で
腰を振り振り
ムード一杯に踊りまくります

こんな むちゃごろうの近くでは
仕事したくなーい!と
いつも 思って
むちゃごろうを避けてた僕ですが

二番目の妻の借金のことで
悩んでる時
一番心配してくれたのは
何故か むちゃごろうです

『お前も
俺とおんなじ道歩んでるなー』
とっても同情されました

むちゃごろう
これからも 僕たちを 目覚めさせてくれ!

樽の中

「一学期の反省と 二学期の目標を書いて
火曜日までに 提出して下さい」
ポマードべったりで
かば と 生徒から呼ばれる
形に残す事が大好きな
校長からの宿題を
思い出すだけで 頭疲れて
宿題 やーめた

いつも学校では
宿題忘れた生徒に
オワッチョ!
言ってる俺が
質問に答えた生徒が
正しい答を言ったとき
スペシャル優秀!
ほめてる俺だけど
二学期の目標は
生徒を愛すること それしか
思いつかない!
結局、明日しよう!
あっさり宿題投―げた

日曜日
重たい心と体で
スーパー銭湯の五右衛門風呂
直径八〇センチの樽の中
不思議と落ち着く 俺がいる

何も思いたくない
身も心も 無になりたい
 
樽の外に 手も足も投げ出した
こんな俺の頭に
『世界は日本には
広すぎる
そして君には
狭すぎる』
一九歳の時書いた詩の
メロディが 何故か よみがえる

樽の中の俺の
真上には
まぶしい青空
どこまでも広がってる

だけどこの俺は
ちっぽけな五右衛門風呂の中
身も心も おさまってる

一九歳の俺は
身も心も
危ないくらい ギラギラしてた

今でも
生徒と一緒にいるときだけは
まぶしい青空まで
飛んで行けそうな俺

書類の山で
同僚の顔も見えない 見たくない
そんな職員室では
身も心も ほこりまみれ

月曜日
授業の合間の十分休み
校内で吸えない煙草
校門の外まで出て行って
足も腰も痛いと ぼやき
生きてることを 確かめる様に
ふーと一服
白い煙の輪の中で
息をしてる俺がいる

剣道場帰りの生徒達
俺へのあいさつ
「先生 煙草おいしい?」
『めっちゃ おいしい!』
「先生、体に悪いで!
先生、オワッチョ」

生徒には 何故か
好かれてるようだ
ありがとう☆

五十歳になったけど
いまだに 根回しがへたな
出世する見込みが 全然ない
オワッチョ先生だけど
やっぱ教師続けよう

樽から 身も心も飛び出して
一学期の反省と二学期の目標を
すらすら書いて
明日
校長に 提出しよう!

バナナでもクッチョケ

木曜日4時間目 工業科3年2組
インテリアの授業
まだ十一時四〇分です

「先生 腹減った!」

『ウルセーバーカ
バナナでもクッチョケ!』

「バナナ?
先生 オワッチョ!」

『アッホ!石川!
授業中に腹減ったと
言ってるお前のほうが
オワリマクッチョルやないか!
チョチョチョチョチョチョチョ
オワッチョ!』
『さてと 114ページ開けて
今日は椅子の構造を
勉強するけど
みんな いいっす?』

シーン

丸ぽちゃで 色白の富田だけは?
真っ赤な顔して
歯の矯正の針金を
隠そうともせず
「ハハハハハ」
何故か いつも笑ってくれる

『富田 笑いすぎや!』
 
『おーいノートを取らんか!
ノートは言わせない!』

『釘宮 ノートは?』

今日もノートを忘れて
釘宮照れ笑い 

夏休み キャノンでの研修
居眠りしてて
引率教師から報告受けた担任から
こっぴどく叱られた釘宮

気合を入れようと
頭丸めたんじゃ ないの?

僕は 冷ややかな眼で
釘宮を 見る
『ノーとは言わせない』

二十分後
集中力の切れた生徒達
財布から
マックの割引券 ジョイフルのドリンク券を
取り出して
ざわざわ がさがさ

あげくの果てには
トイレは授業中に行くもの と
思ってる佐々木が
「先生!トイレ!」
『佐々木!ガマンできないのか?』
「先生、お願い!」
『しゃあねえな。行っといれ』

隣を見ると
藤本『寝ちょーん!』
藤本 ビクッとして 起きる

僕は 工業科で 家具の作り方などを
教えてる
男子ばっかの授業しか
したことがない
ちびまるこちゃんの先生みたいに
「石川さん」「富田さん」
「釘宮さん」「佐々木さん」「藤本さん」と
言ったことがない

三組の渡辺
日曜日、自転車の二人乗りをしていて

チャーリオ♪
チャリオは 車の 前走る♪
チャリーオ♪
チャリオは 二人乗り♪

僕に冷やかされ

『チャリオ』 と
呼ばれるようになった

こんな生徒達から
僕は『オワッチョ先生』と呼ばれる

先生らしくない言葉遣い
オワッチョ ギャグ
眼(まなこ)を思いっきり開いて
ムキになってる

こんな僕に 生徒達は
『ウルセーバーカ』を
求める

土曜も学校だ

今日は我が校の特色
希望者対象の土曜講座
僕の担当する住宅模型は
受講者 たったの三人!

住宅模型上手に作れても
建築士の資格
もらえるわけないから
資格に結びつかない住宅模型
受講者は マニアックな生徒三人

僕の第二第四土曜の仕事を
成立させてくれる
とても貴重な三人とは
まずは
僕よりずっと早く登校して
教室の前で待ってる
三年生の小野健二
ずんぐりむっくり
げじげじ眉
どんぐり眼(まなこ)が
いつも 微笑んでて
あいきょう たっぷり!

モーニング娘が大好きな
モーニング息子
匂いフェチで
姉ちゃんからもらった
ハローキテイのタオルを
いつも クンクンしてる

二人目は
二年生の甲斐野隆樹
あんぱんまんの
ジャムおじさん
もじゃもじゃ前髪の下の
にこにこ笑顔
「体が かいーの」
からかわれても にこにこ笑顔

高校一年の一学期
「気が弱くて 学校続けられるかな?」
思った僕が すすめた太鼓部
今では 毎日
体育館下の
かび臭い部室の
窓を閉め切って
流れる汗をふく間もおしんで
バンバンバンバンバンバンバン
太鼓叩いてる

三人目は
一年生の山本真理奈
福祉科なのに
介護福祉士の講座は受けず
お父さんが設計士だから
って
模型材料の発泡スチロールを
切れ味鋭いカッターさばき
眼鏡の奥の瞳が 光ってる!

真理奈を見つめる モーニング息子と
かいーの 二人の瞳がうるんでる

この三人がいるから
土曜の僕も 生き生き出来る!

『壁の高さ2メートル45センチは
何ミリ?健二?』
「うーん?」
『じゃあ、かいーの?』
「うーん?」
『それじゃ 真理奈?』
「2450ミリ」
『優秀!』

『それじゃ真理奈
この住宅模型は50分の1で作るけど
天井までの高さ2450ミリの
50分の1は?』
「うーん」
『2450わる50だから?』
「うーん 49ミリ!」

『スペシャル優秀!!』
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